日本の食文化において、最も重要とされていることと言えば、まず『鮮度』が挙げられますよね。
刺身として生で食べられる魚は当然のことですが、野菜でも肉でも、鮮度は消費者に強く求められています。
それは伝統的な刺身文化に由来するものなのか、国土が狭く物流が容易なためにそうなったのかはわかりませんが、日本人は食物の鮮度には極めてうるさい国民だと言えるでしょう。
実際のところ、現代でも冷凍保存に対して、『冷凍することで、鮮度が落ち、味や栄養成分も落ちるのではないか?』などと勘繰り、冷凍食品に悪いイメージを持っている消費者も多く存在しています。
果たしてその考えは正しいのか?間違っているのか?
今回は、みなさんのそんな疑問にお答えしていきますね。
では、糖質制限中によく食べられる野菜であるブロッコリーやほうれん草の冷凍野菜について、お話していきましょう。
目次
野菜は冷凍すると、味や成分が落ちるのか・・・?
ブロッコリーだろうがほうれん草だろうが、旬の時期に、収穫したばかりの物が最も状態がいいのは当然のことですよね。
同じ種類の野菜でも、モノ(鮮度)によっては味にも、栄養成分にも、外見(色やつやの美しさ)にも優劣があります。
野菜は根っこから養分を吸収して実りますので、収穫されて(地中から掘り起こされ)時間が経つにつれ、味は落ち、栄養成分は低くなり、色つやは悪くなっていきます。
事実として、私たち消費者の元に届くまでには、相応の時間が経過しているというわけです。
一方、冷凍野菜は収穫後、間もない状態(消費者もとに届くよりもずっと早く)で冷凍食品として加工されます。
一般的な冷凍加工法としては、ブランチングという方法で、100℃くらいのお湯で軽く下茹でしたり、高温の蒸気を当てて、酵素の働きを閉じ込めた後、すぐさま瞬間冷凍します。
酵素の働きを封じるということは、野菜は不活性状態になりますよね。
よって、保存中の変質や変色、栄養成分の劣化を防ぐことが可能になるのです。
ですので、生の野菜と冷凍食品の野菜では、栄養成分にはほとんど差がないと言えますし、むしろ鮮度のいい状態で冷凍保存された商品の方が、かえって鮮度が高い場合の方が多いと言えます。
※これはあくまで、ブランチングによって正しく冷凍保存した場合(冷凍食品)に限る話になります。
一般的な家庭にあるような冷凍庫では瞬間冷凍は不可能ですので、同じように冷凍保存はできませんので、注意してくださいね。
ブロッコリーやほうれん草に含まれるビタミンやミネラルもそのままなの?
『生の野菜と冷凍食品の野菜では、栄養成分にはほとんど差がないと言えますし、むしろ鮮度のいい状態で冷凍保存された商品の方が、かえって鮮度が高い場合の方が多い』
と言い切っちゃいましたが、ひとつだけ付け加えさせて頂きます。
細かい話になりますが、特にブロッコリーに豊富に含まれるビタミンCについてだけは、多少の減少は免れません。
ビタミンCは水溶性(水に溶け出してしまう成分)ですので、ブランチング加工の工程で下茹でした際に、ある程度は水分中に溶け出してしまいます。
生のブロッコリーを調理するなら、蒸したり、電子レンジで温めたりと、ビタミンCの流出を最小限に留めることが可能ですが、冷凍食品の場合はそうもいかないのが事実です。
とは言っても、ブロッコリーやほうれん草に含まれるたんぱく質や食物繊維量には変化はなく、糖質制限中の私たちが積極的に摂るべき野菜ということには間違いありませんので、気にするほどのことではないと私は考えています。
ビタミンなんて、サプリメントからの方がよっぽど豊富に、効率的に摂取できますからね。
まとめ
栄養成分にも、健康的にも全く問題がないということが理解できれば、冷凍野菜の手軽さ、素晴らしさ、有難さが身に染みてきませんか?
冷凍野菜を上手く使えば、特売で買ったはいいが、なかなか使う機会がなく、野菜をダメにしてしまうこともなくなるでしょう。
これからは、小さなお子さんやお年寄りにも自信を持って提供するだってできますよね。
最後に日本の食文化について、ひとつ難癖を付けさせてもらえば、日本人って無駄に『生もの』にこだわりすぎなんですよね・・・。
熟成度が増すことから、肉は腐りかけが一番おいしいじゃないですか。
バナナだって、好みはあるかもしれませんし、糖質制限中にはNGですが、黒くなったところが一番甘くて美味しいですよね。
ハンバーグやシュウマイ、餃子などの挽肉を使った料理は、冷凍した方が旨みが増しますし、きのこ類なんかも、冷凍した方が旨みが引き出されるそうです。
なんでもかんでも、生がいいってもんじゃないんですよ。
さぁ、種類にもよりますが、冷凍製品を上手く利用して、時間を効率的に使い、余った時間で筋トレでもしようじゃありませんか!