インスリンの分泌と糖質制限の関係については、すでにお話しましたが、今回はより理解を深めるために、インスリンと糖尿病の関係についてお話します。
インスリンの働きと糖質制限について詳しくはこちら
👇
目次
糖尿病とは・・・?
糖質を摂取すれば、 血糖値 が上昇しますね。
すると、上昇した血糖値を下げるために、すい臓からインスリンが分泌されますが、そのインスリンの分泌量が低下、またはインスリンの働きの悪化によって、一度上昇してしまった血糖値を下げることが困難になってしまった状態が、糖尿病の症状です。
その結果、高血糖状態が長時間続くことで、全身の血管がダメージを受け、様々な病変を引き起こすのです。
では、なぜインスリンの分泌量が低下するのでしょうか?
糖尿病には、先天的(一型糖尿病)、後天的(二型糖尿病)と、大きく分けると、2つのタイプがあります。
一型糖尿病とは、すい臓の機能障害によりインスリンの分泌能力が低下することで発症する糖尿病で、運動不足や生活習慣、年齢などは関係なく、若い人でも突然発症してしまうケースが多く見られます。
そして、二型糖尿病は長年の不摂生、暴飲暴食、運動不足などの生活習慣の乱れによって、インスリンの分泌量、機能が低下することで発症します。
また、二型糖尿病の発症時期は、中高年層が多く、長年の生活習慣の乱れが積み重なった結果として発症する場合がほとんどです。
糖尿病に対する疑問
ここで、ひとつの疑問が湧きませんか?
インスリンの分泌量が低下するということは、インスリンが持つ『脂肪を蓄える』という余計な作用もなくなるんじゃねえの?
ラッキーじゃん!と・・・
ですが、そうもいかないのです。
インスリンの減少、能力低下によって、血糖値を下げることができなくなり、高血糖状態が長時間続くと、全身の血管に大きな負担がかかり、血流が悪くなります。
それが原因で、多くは細い血管が集まっている部位や体の末端部位に様々な合併症が起きてしまうのです。
水道管でイメージしてみましょう。
太い水道管であれば、経年劣化により、配管内部のサビやゴミなどで少々の詰まったりしても、それなりの量の水を送ることができますが、細い配管は、ちょっとしたことで、すぐに配管内部が閉塞して、水が送れなくなってしまいますよね。
人間は、心臓をポンプのように働かせ、血管という水道管で全身に血液(栄養)を送ります。
ですが、水道管同様、ダメージを受けた血管(特に細い血管)では、十分な栄養が送り込むことができません。
そのため、細い血管が集中した部分や、ポンプとして働く心臓から遠い身体の末端部位には、栄養が行き渡り難くなり、病変が発症しやすいのです。
この病変を、糖尿病の合併症と呼びます。
このような理由から、合併症の代表的な例としては、目(細い血管が集中する部位)が悪くなるとか、手先、足先(心臓から遠い部位)のほんの軽いすり傷や切り傷が回復せずに、最後には壊死してしまうという症状があります。
それは、インスリンの働きによって、脂肪をため込んでしまうということなどとは、比較にならないほど重大なことです。
少々太ったって死にはしませんが、糖尿病は重大な合併症を引き起こす危険性の高い、生死にかかわる重病なのです。
糖尿病の治療法
そこで糖尿病になってしまった人は、食事管理により血糖値を上げないように努めたり、または、自らインスリンを分泌できない代わりに、食後の投薬や注射によってインスリンを補う必要があるのです。
食習慣の変化、欧米化により、糖尿病患者数は増加の一途を辿っているということは周知の事実ですね。
しかも、我々日本人は欧米人と比較して、インスリンの分泌量が少ないという傾向があるそうです。
だとしたら、尚更、糖質摂取の管理が大切になってきますよね。
今では、糖質制限と言えばダイエット法の一つだという認識が強くなっていますが、元を辿れば、糖質制限とは糖尿病治療のための食事療法だったのです。
日本の糖質制限の第一人者である江部康二先生も、自らの糖尿病治療のために糖質制限を実践し、効果を確認して世に広めていったというのは有名な話です。
つまり、糖質制限ダイエットは、健康的に美しく痩せたい人だけでなく、血糖値が気になる方や、糖尿病の方にとっても、最適なダイエット法なのです。
会社の健康診断の直前になって、血糖値の心配をするのなんて、もう終わりにしませんか?
一週間、二週間前になって、お酒を控えたり、気休め程度の運動をしたって、屁のツッパリにもなりませんから・・・
糖質制限に取り組んでしまえば、全て解決します!
今後は、糖質制限を実践するにあたっての具体的な食事パターンなどについて、詳しくお話していきますね。