近年の糖質制限ブームの波に乗って、様々な低糖質商品が開発、販売されるようになり、私たち糖質制限ダイエッターの食生活は非常に豊かになってきました。
一昔前の糖質制限では口にすることができる甘い物といえば『ゼロ・コーラ』などの限られた清涼飲料水くらいで、チョコレートやデザートの類など夢のような話だったものです。
基本的に、糖質を抑えて甘さを出すには、同量で砂糖の数十倍~数百倍の甘味を持つ人工甘味料や、体内で消化・吸収されにくいために、血糖値の上昇に影響を与えにくい糖アルコールなどが使用されるのですが、その中には注意すべき成分も存在します。
今回は、低糖質なチョコレート菓子などに多く使われている『マルチトール』という糖アルコールについてお話していきたいと思います。
これがちょっと厄介なで、誤解を生じやすい成分なんですわ・・・
目次
マルチトールの特徴
マルチトール
でん粉から作られる糖アルコールの一種。
カロリーは砂糖の約1/2で、砂糖の約90%の甘味を有する。
結晶化しないので、食品として加工・製造するのが容易である。
腸管から比較的吸収されにくいため、血糖値を緩やかに上昇させる。
血糖値を緩やかに上昇させるが、砂糖の約30%~50%は上昇させる。
(個人差、体調により変動するようです。)
食品添加物ではなく、食品として扱われる。
このような特性から、マルチトールはチョコレート菓子を中心に広く使用されている糖アルコールです。
では、これらの特徴の中で、糖質制限にとって重要な事項を詳しく考えていきましょう。
『カロリーは砂糖の約1/2で、砂糖の約90%の甘味を有する。』ということですので、しっかりとした甘味を引き出すには、砂糖以上の量が必要になりますね。
『腸管から比較的吸収されにくいため、血糖値を緩やかに上昇させる。』と曖昧な表現がされていますが、実際には、砂糖の約30%~50%は確実に血糖値上昇させる糖アルコールです。
また、体質により個人差に大きな開きがある成分ですので、長期間に渡り大量に摂取する場合には、身体の変化に十分注意してくださいね。
ということから、使用量次第では大幅な血糖値上昇の可能性がある成分ということになります。
また、『食品添加物ではなく、食品として扱われる。』ということから、成分表示では、甘味料や添加物としてではなく、原材料として記載されます。
どうでしょう?
なかなか油断できない成分ということを理解していただけたでしょうか?
では、実際にマルチトールが使われた商品の原材料・成分表示を例に見ていきましょう。
ロッテ ゼロ アイスクリーム(チョコバー) の原材料・成分表示
こちらは、ロッテの糖類ゼロのアイスクリームになります。
砂糖を使わず、普通のアイスと変わらないくらいの美味しさを実現している人気商品ですね。
早速、成分表示を見てみましょう。
糖質 13.0g 糖類 0g
糖類に分類されるブドウ糖、果糖などの単糖類、二糖類 は全く使用されておらず、糖類 0g のようですが、糖質は 13g もしっかり入ってますからね。
『糖類ゼロ』とデカデカとアピールしていますが、血糖値を上昇させ、肥満ホルモン・インスリンの分泌を誘発する糖質は、がっつり入っちゃってるんです。
消費者の目を引くためのメーカーの企業努力なのでしょうが、ちょっとずるいですよね。
そんな罠に引っかからないように、私たちはしっかりした知識を身に付けなければなりませんね。
※まぎらわしい糖質、糖類の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
では、糖質 13.0g の正体を原材料表示から考えてみましょう。
主な糖質の成分となる原材料としては・・・
アスパルテーム、L-フェニルアラニン化合物、スクラロースなどの甘味料は、ほんのわずかしか使われませんし、還元水あめは、一般的にマルチトールと混合して使用されるタイプの糖アルコールですので、計算委には入れずに考えた結果、多量に使われていると考えられるのは、マルチトールくらいですね。
ここは、糖質 13.0g の成分は、ほとんどマルチトールからのものになるでしょう。
もちろん、砂糖が13.0g 使われたアイスクリームよりは血糖値に与える影響は少ないことは間違いありませんが、砂糖 13.0g の約半分の6.5g の糖質を摂取したと考えなければなりません。
参考までに、砂糖がたっぷり使われた定番アイス『スーパーカップ』ですと・・・
容量は異なりますが、35.3g も糖質がありますので、6.5g なんて少ないもんですけどね。
1個食べるくらいなら大丈夫な量ですが、食べ過ぎには注意してくださいね。
また、くれぐれも、
糖類ゼロ = 糖質ゼロ ではありませんので、しっかり頭に入れておいて下さい。
まとめ
今回、深く掘り下げてお話した『マルチトール』ですが、『マルチ』という名前の通り、加工・製造の容易さやコストの低さから、様々な商品に使用されています。
ですから、しっかり原材料、成分表示をしっかり読み取り、どの商品にどのくらいの量が使われているのかを確認して、厳密な糖質摂取量を管理していきましょう。